SUSTAINABILITY
私たちイーオクトが考える「サスティナビリティ」とは、難しいことではなく、
誰もがただほんの少し、日々の暮らしを、消費行動を見直して、行動を変えること、進化すること。
第3回 スウェーデン環境先進スーパー COOP (2)
~環境分野でリードするスーパーマーケットの取り組み~
消費者を変えた。
COOPは消費者がより簡単に持続可能な買い物ができるようにすることを目標としておりいろいろと工夫しています。
まず、重要なのは、市場で一番、エコロジカルな食品と環境配慮製品の品目を多く揃えて提供することですが、その上に、製品の並ぶ棚にエコの製品がどこにあるか分かりやすいように緑のマークをつけています。
そして、レシートにはお客さんが買った製品の中でどれが環境配慮製品で、どれだけ買ったかが明確に分かるようになっています。お客さんがエコな製品を選ぶように積極的に働きかけをしているのです。フェアトレードにおいても同様に積極的に働きかけをしてきています。
COOPの積極的な働きかけで消費者が変わった模範的な成功事例があります。それは、「平飼い鶏の卵」です。
会員からブロイラー飼育の批判と卵が魚の味がするなどの不満の声があったため、生産農家に平飼いで飼料は野菜のみに切り替え、抗生物質も使わない飼育方法に切り替えてもらうようにしました。
当然、その卵の方が高くなったのですが、ここで彼らのやったことが消費者の啓発だったのです。「あなたが平飼いの卵を選ぶことによってブロイラー飼育で苦しんでいる鶏を救うことができますよ」というキャンペーンで卵の売り場に平飼いの良い点をしっかりと写真などで説明をしておいたのです。
それで、少しずつ消費者の消費パターンが変わって平飼いの卵の売上が増えたのです。今は、COOPグループ会社Forumに一部ブロイラー飼育の卵が残っているだけで、売っている全ての卵が平飼いになっています。
消費者の最も関心が高い問題。
- 魚の乱獲
最近の消費者の最も関心が高い環境問題は、地球温暖化以外では、魚と肉です。 魚に関しては、2年前に魚の乱獲の危機を警鐘する「沈黙の海」という本がベストセラーになりました。タラやウナギやクロマグロなどが絶滅に近いというだけでなく、世界の海の食用の魚が今のような乱獲の状況が続くと40年後には全て消滅してしまうと警告を出した本でした。 この問題がメデイアで取り上げられるとタラをボイコットする国民が増えるなど社会的におおきな話題になりました。タラもサケもウナギもマグロもだめならいったい何を食べれば良いのか消費者は、戸惑ってしまいました。そこで、COOPは、昨年、魚に関する戦略を打ち出しました。
1)魚の生産地と漁獲方法が分かるようにする。環境ラベルの魚が提供できるようにする。
2)魚の購入の際のチエックリストを作成。WWF、MCSなどの環境保護団体のリストを使う。原則は、トレーサビリテイと漁獲方法。トロール漁法で獲った魚は買わない。
3)社内で魚の専門グループを設立。社内に知識を深め、サプライヤーに要求していく。
4)海に富栄養化、地球温暖化、環境汚染によって間接的に影響を与えることに加担しない。そのためエコロジカルな製品の売り上げを増やしていく。運搬をモーダルシフトするなど。
問題が提起されてから半年くらいでCOOPでは、KRAVやMSCのマークがついたタラやサーモンやエビなどが見られるようになりました。これで安心して良心の呵責を感じず魚が食べられるととてもうれしかったです。
MSC(持続可能な漁獲方法を保証するマーク)がついている冷凍のタラ
KRAV エコロジカルな食品につく環境ラベル。愛犬のドックフードもエコロジカル。 - 家畜福祉
COOPは(環境マネジャーのMikael Robertssonの話では)、今、社内外の家畜に関する専門家を集めて、「家畜福祉=アニマルウエルフェア」に関するCOOPの戦略の作成に取り組んでいます。
この動きの背景には、今年の春、あるスウェーデンの養豚農家でのひどい飼い方が動物愛護のNGOによってビデオで暴露され、その様子が全国テレビに放映されたことがあります。
例外的にひどいケースだったにしろ、消費者にショックを与えた事件でした。
また、スウェーデンは、デンマークから豚肉をたくさん輸入しているのですが、昨年のクリスマス前に、テレビでデンマークの一般的な養豚農家の飼い方がひどいという放映が流れました。
COOPとしては、デンマークからの豚肉の購入は多く、消費者の関心が非常に高い問題があるため、独自の戦略が必要と判断しました。
エコはグッドビジネス
2009年のCOOPのサステイナビリテイレポートによると、近年のエコロジカルな食品の売り上げの伸びは根強く、昨年もエコロジカルな食品の売上が9%アップし、フェアトレードは37%アップしています。
環境部長の話では、COOPのエコロジカルな食品の売上量が1985年は、63トンだったのが、現在は6万トンで16億クローナ(約200億円)の売上高になっており、COOPにとってとても良いビジネスだそうです。
しかし、消費者のエコロジカルな食品への需要の方が、彼らの供給する量よりずっと多いのが現状です。
北欧諸国との協働
以前、北欧諸国で協働経営していたNordiska COOPがあったそうですが、今は、別々に経営しています。
一番、COOPの市場のシェアが大きいのがフィンランドで43%、デンマークが41%、ノールウエーが24%で、スウェーデンが21.5%です。現在は、アジアからのCOOP Extraのプライベートブランド製品の購入の共同購入で協力している程度です。
エングラマーク製品は、COOPデンマークで全ての製品を売っており、COOPノールウエーでは50~60種類の製品を売っています。
しかしながら、今後、海外にエングラマーク製品を輸出する考えはないとのことでした。
イーオクトのすべての軸である「サスティナブル」について、詳しくご紹介します。
わたしたちのサスティナビリティへの幕開けは1990年10月から。イーオクト代表、高橋百合子による環境先進国スウェーデンの「リサイクル社会を実現するための環境機器」輸入事業開始…